不動産私募ファンドに関する実態調査
 ~2024年1月 調査結果~

株式会社三井住友トラスト基礎研究所

     本調査は一般社団法人不動産証券化協会(ARES)と株式会社三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)が共同で実施した、第4回「不動産私募ファンドに関する実態調査」である。SMTRI単独では、2003年12月より本調査をアンケート形式で行っており、今回の調査で37回目となる。共同調査への移行後は、有効回答率が増加しており調査精度が高まっている。

  - 調査対象:国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社
  - アンケート送付先数:129社
  - 回答社数:81社(有効回答率:62.8%)
  - 調査時期:2024年1月~2月(2023年12月末基準)

不動産私募ファンドの市場規模は、私募REIT・グローバルファンドを含めて35.0兆円と推計

  • 上記アンケート結果およびヒアリング・公表情報をもとに、2023年12月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT・グローバルファンド含む)の市場規模(運用資産額ベース)を35.0兆円と推計した。この数値は、ARESが把握している国内私募REITおよびSMTRIが把握しているグローバルファンド(※)の国内不動産運用資産額を含めている。前回調査の運用資産額(2023年6月末時点:33.4兆円)から約1.6兆円増加したものの、増加率は前回の+12.4%から今回+4.8%へと減速が見られた。引き続き運用資産規模を拡大させた運用会社数は規模を縮小した運用会社数を上回っているが、運用資産規模の拡大幅は縮小している。欧米の不動産市場の不振を受けて海外投資家に国内不動産を売却する動きが見られたこと、国内投資家においても海外の金利上昇に伴う不動産以外の運用資産のパフォーマンス不振等で国内不動産ファンドに関して利益確定の動きが見られたこと等が、運用資産規模拡大の重荷になったものと推察される。また、足元で予想される日銀によるマイナス金利解除の影響を見極める姿勢もあり、今後の運用資産額の拡大ペースに与える影響については注視が必要である。

    ※グロ-バルファンド・・・日本以外の国も投資対象とするファンドとして定義

エクイティ投資意欲は堅調もやや陰り。日銀YCC柔軟化の影響は限定的だが、今後の動向が注視される

  • 運用会社から見たエクイティ投資家の投資意欲は「変化はない」との回答が大半を占めている。堅調な投資意欲が改めて確認されたものの、「低くなってきている」の回答割合が2020年7月調査以来の水準まで上昇しており、投資家の投資意欲が減退していると考える運用会社が増加している。投資家属性別の投資額をみると国内投資家で「減少」との回答の増加が目立ち、特に「国内系統金融機関」「国内地方銀行」における「減少」の回答割合の増加が大きい。一部の国内機関投資家は、国内不動産価格の高騰によるリターン低下を背景に、期待利回り確保のため海外不動産や別資産への投資に切り替えている可能性が考えられる。また、一部の投資家による利益確定の動きが運用会社や他の投資家のセンチメントに影響している可能性もある。
  • 日銀が2023年10月の金融政策決定会合で決定したイールドカーブコントロールにおける長期金利の上限の目処を1%とする再柔軟化措置の影響については、投資方針に「変化があった」とする回答は7%にとどまった。変化の内容は「取得価格目線の低下」「LTV水準低下」「投資額縮小(減少)」との回答が上位を占めた。ただし、投資方針に「変化がなかった」とする93%うち36%が「今後ありうる」としており、今後の動向を注視する姿勢もうかがえる。

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