「グリーンリース・ガイド」のラストワンマイルをつなげ!

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

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 国土交通省が設置する環境不動産普及促進検討委員会は、我が国におけるグリーンリースの普及に向けた実務的な手引書として、取組の手順、事例、契約条項の雛型、Q&A等を内容とした「グリーンリース・ガイド(国土交通省サイトにリンクします)」をとりまとめ、2月22日に公表した。これまで、同委員会では環境不動産の普及促進の一策として3年にわたりグリーンリースを検討してきたが、このグリーンリース・ガイドはその集大成というべきものである。

 我が国にグリーンリースを根付かせ、長期的なサステナビリティの視点に立った環境不動産市場を形成していくためには、このグリーンリース・ガイドを環境不動産普及のための戦略的なツールとして、如何にステークホルダーに活用を促すかが重要な課題となる。そこで本稿では、グリーンリースの直接的な当事者(ビルオーナー・テナント)への普及策、さらには環境不動産を巡る良好な資金循環の促進の観点から、国内外の機関投資家への情報発信策について、ある程度限界があることを認識しつつ、自由に意見を述べたい。

 現在、グリーンリース・ガイドは国土交通省 環境不動産ポータルサイトから自由にダウンロードが可能となっている。もし、このダウンロードの条件としてユーザー登録を設定すれば、その後のユーザーの属性分析により、ニーズが高い企業群に対する効果的なマーケティングが可能となる。収集したメールアドレスは、環境関連のシンポジウムや新たな補助金制度の案内等に役立ち、また「グリーンリースを活用したい立場」と「グリーンリースを普及させたい立場」の双方を橋渡しすることで、Win-Winの関係構築に寄与できるだろう。

 さらに、グリーンリース・ガイドに掲載された取組事例を筆頭に、既に協働してグリーンリースに取り組むトップランナーの事例をベストプラクティスとして採り上げ、環境不動産ポータルサイトに掲載するとともに、ユーザー登録者に発信してみてはどうだろう。具体的な事例は大いに参考となるし、取組を検討する上で不明な点があればすぐに解決できるよう、グリーンリース専用問合せ窓口の設置も検討されたい。

 グリーンリースに取り組む事業者には、環境省・国土交通省連携事業「業務用ビル等における省CO2促進事業(環境省サイトにリンクします)」による補助金交付と併せて、21世紀金融行動原則(環境省サイトにリンクします)の署名機関による融資条件の優遇措置なども、有効なインセンティブとなるだろう。22日に国土交通省が提示した普及策(案)では、グリーンリースを締結した企業を対象とした表彰制度の創設(「グリーンリース宣言」団体の登録・公表制度)を検討するとのことであった。この表彰制度の創設には米国のGreen Lease Leadersが参考となると考える。

 海外機関投資家に向けた情報発信では、グリーンリースに関する我が国の取組を世界レベルで認識してもらうような段取りが必要となる。今後、グリーンリース・ガイド英語版が作成され、Green Lease Libraryへの掲載依頼はもちろんのこと、UNEP-SBCI(UNEP-Sustainable Building and Climate Initiative)への情報提供、記事の掲載依頼も是非行われることが望ましい。さらには、我が国最大級の環境展示会であるエコプロダクツでのプロモーションのほか、産官学連携の環境関連のシンポジウム、セミナーなどへの委員関係者の登壇・参加による情報発信も戦略的・積極的に行うべきだろう。

 「環境対策を推し進めたいが、その具体策がわからない。」、「グリーンリースとはなんぞや?」・・等。そんな企業のために「グリーンリース・ガイド」が作成された。次は、「グリーンリース・ガイド」を必要とする企業へのラストワンマイルをしっかりとつなごう。つながればランドスリップするようにグリーンリースが普及し、環境不動産市場形成の大きなドライバーとなるに違いない。

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