J-REITにおけるGRESBリアルエステイト評価への参加実態の考察2021

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

要約・概要

 2021年公表の「GRESBリアルエステイト」(以下「GRESB」)では、2020年に実施されたGHG排出量等の実績値に関する配点重視等の評価体系変更を追い風に、J-REITは引き続き高いレーティングを獲得し、依然トップランナーに位置している。すでに多くの投資法人が環境パフォーマンス実績値(GHG排出量、エネルギー消費量、水消費量、廃棄物量)を把握し、時系列で公表をしているが、5Starを取得した投資法人の全てがGHG排出量、エネルギー消費量を公表しており、レーティングと公表率には強い相関が示されている。つまり、高いレーティングを獲得するためには、環境パフォーマンス実績値の把握と、GRESBへの開示が必要条件であると言える。
 今後GRESBの評価のポイントは、目標値に対する進捗率や原単位での絶対水準比較に移っていくと考えられる。さらに、気候変動による「リスクと機会」に関連する事業インパクト評価、シナリオ分析に基づく財務インパクト推計値の開示と、その推計値の第三者保証が重要となろう。GRESBで高い評価を得るためには、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)対応は避けて通れず、逆にGRESBに参加して高評価を目指すことは、必然的に気候変動問題を考え、行動する契機となる。気候変動対策はもちろんのこと、他の環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の課題に関しても、GRESBに参加し、評価項目に沿ったESGに取組むことが効率的かつレピュテーションの向上等、様々な場面で有効であろう。

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