不動産運用会社のESG取組はさらに進展
TCFD対応はいまだ途上、まずは「リスクと機会」の整理から始めよう

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

要約・概要

 当社「不動産私募ファンドに関する実態調査」では、ESGに関するアンケートを2018年から実施し、今回2022年1月調査が4回目となる。今回の調査結果を見ると、運用会社はESGを志向する投資家への意識を一層高めて、ESGの具体的な取組を進展させていることがわかった。特に海外投資家については、回答者全員がESGを志向する投資家が「増える」と回答した。
 今回は新たにTCFD に関する質問を追加した。TCFDに関して「投資家からの開示要請の高まり」を「意識している」との回答は71%に達し、私募REITを運用する運用会社では回答者の83%が「意識している」と回答した。一方、TCFDの対応方針を社内で決定しているとの回答者は全体の2割強にとどまり、「GHG排出量削減率等に関して中長期目標を設定している」は15%、「『リスクと機会』の整理を行っている」は13%、「2℃シナリオ等のシナリオ分析を行っている」は全体の1割にも満たない状況であった。国内外の投資家が投資先にTCFDに準拠した対応を求める動きはますます強まっている。TCFDについて、まずは「リスクと機会」の整理から着手し、次にはそれらのリスクにどう対応すべきかを検討する必要がある。先送りすればリスクが顕在化する恐れが高まる一方で、早めに着手すれば、ノウハウの蓄積やレピュテーションの向上、さらには新たな機会の創出にも繋がるだろう。

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