都市公園リノベーション協定制度を
活用したまちづくり

PPP・インフラ投資調査部 副主任研究員   岩瀬 有加

要約・概要

 各種インフラと同様に都市公園も老朽化が進み、2033年には約7割の都市公園が設置から30年以上経過すると推計されている。官主導の都市公園の整備には財源、人員にも制約があり、民間の創意工夫や資金活用による整備促進への期待が膨らむ。

 そうした中、2017年に都市公園法改正でPark-PFIが創設されたことに続き、2020年には都市再生特別措置法改正で「都市公園リノベーション協定制度」が創設された。いずれも飲食店などに係る建ぺい率の上限緩和や設置管理許可期間の延長などといった、都市公園法に係る特例措置がインセンティブとして適用されるが、制度の利用状況はPark-PFIが131箇所に対して、都市公園リノベーション協定制度はわずか2箇所に留まり、後者の利用は進んでいない。その背景として、都市公園リノベーション制度はPark-PFIと制度趣旨が異なり、対象区域が都市再生整備計画に定めるまちなかウォーカブル区域に限定され、かつ、対象事業者も社会活動やまちづくり活動に実績を持ち、エリアと一体的に公園施設の整備・改修を行う事業者に限定されていることが挙げられる。

 しかしながら、都市公園リノベーション協定制度の利用事例を確認したところ、2事例とも、鉄道系の会社が事業者となり、駅前に設定されたまちなかウォーカブル区域において、駅と公園との一体利用による快適な空間づくりを提案している。地域特性を活かし、利用者のニーズにも応えることで駅前の魅力を高められれば、沿線の価値向上にもつながるため、鉄道系事業者にとって、都市公園リノベーション協定制度を活用するメリットは大きい。また、社会的活動の中で自社の収益向上も図ることができる。同様の視点で、エリア全体の価値向上が自社の収益性向上にも繋がる不動産会社においても、本制度の利用が想定される。Park-PFIとは異なり、こうしたまちづくりを行う民間事業者が、公募によらず事業に参画できることは大きなメリットと考えられる。

 既にまちなかウォーカブル区域を設定している市区町村は全国に101ある。まちづくりに取組む民間事業者が、同区域において、この都市公園リノベーション協定制度を積極的に活用することにより、制度の趣旨に沿って、まちづくりと一体になった都市公園の整備、居心地が良く歩きたくなるまちなかの形成が促進されることを期待したい。

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