コンビニ難民の市区町村別推計
 ~コンビニ徒歩圏に居住する高齢者人口は日本全国で39%~

投資調査第2部 副主任研究員 竹本 遼太

<要約・概要>

  • 今後迎える超高齢社会の経済・社会インフラとしてコンビニが果たすと考えられる役割の重要性を踏まえ、本稿では、コンビニチェーン12グループの54,468店舗と、人口(特に高齢者)の地理的分布の関係を分析し、コンビニ店舗網がカバーする徒歩圏人口を推計した。
  • 東京23区においては、コンビニ500m圏で人口の99%がカバーされる一方、日本全国では68%と、郊外部や地方においては相対的にコンビニ徒歩圏に居住する人口割合が低い。高齢者に限った分析でも同様の傾向がみられ、東京23区では高齢者の86%が最寄りのコンビニから300m以内に居住している一方、日本全国では高齢者人口の徒歩圏カバー率は39%に過ぎない。すなわち、全高齢者の6割程度は、徒歩によるコンビニへのアクセスに不便を感じる"コンビニ難民"と推計される。
  • 市区町村別の推計結果からは、コンビニ徒歩圏の人口カバー率はコンビニ店舗の平均商圏人口と相関性が強いことが示された。 したがって、人口カバー率を高めるには、郊外地域では鉄道駅周辺への住宅の集約など、居住地域のコンパクト化が重要と考えられる。
  • また、少子高齢化に伴う人口減少を受けて、コンビニ店舗における従業員の不足が意識されている中、コンビニ店舗網が超高齢社会の経済・社会インフラとして機能するためには、居住地域のコンパクト化に加え、コンビニ店舗における人材確保が大きな課題になるとみられる。

コンビニ徒歩圏の人口カバー率(市区町村別)(左:全年齢・500m圏、右:65歳以上・300m圏)

関連書籍

コンビニ難民

書 名: コンビニ難民 小売店から「ライフライン」へ
著 者: 竹本 遼太(研究統括部 副主任研究員)
発 行: 中央公論新社
発行日: 2016年3月10日
定 価: 本体820円+税
お求め方法: 一般書店、インターネット書店にて好評発売中 Amazon

コンビニは単なる小売店舗にとどまらず、経済や行政、物流など、各種サービスを提供する社会インフラであり、今後迎える超高齢化社会において「ライフライン」としての役割が高まっていくことが予想される。しかし、全国の高齢者の実に6割はコンビニ徒歩圏に居住していない、いわゆる「コンビニ難民」と推計される。「全国コンビニ難民度」データなどをもとに実態を浮かびあがらせ、課題と解消策を探る。

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