概要

J-REITの運用状況をまとめたレポートをご紹介します。

本レポートは、三井住友トラスト基礎研究所によるJ-REIT全銘柄の公表データの蓄積やその継続的な分析をもとに、投資主価値の代表的指標である分配金とNAV、それらに直結する主要指標を定量的に「見える化」しています。投資用途や地域、成長ステージ等の多様化が進み、全体像が掴みづらくなったJ-REITの運用状況を客観的に捉えるとともに、セクターや銘柄による違いを把握できる内容となっています。

上期(1月期~6月期)、下期(7月期~12月期)の決算が出揃う9月、3月に公表を予定しています。

 J-REITの2025年上期(2025年1月期~2025年6月期)の1口当たり分配金は前年同期比+6.7%(対象銘柄の中央値。以下同様)と大きく上昇し、1口当たりNAVも同+2.4%とプラス成長が継続しています(p2)。
 コロナ影響前の2019年下期を100とすると、1口当たり分配金は2024年下期の107から2025年上期は111へと更に上昇した一方、賃貸EPSは103から101に低下し、賃貸EPSの分配金に対する比率は93.6%から87.1%に大幅に低下しました(p3)。
 調達年限の短期化や変動借入の活用で抑制しているものの、負債コストの上昇が進行し、自己投資口取得が増加する一方でエクイティ調達が低迷する中、LTVを引き上げて物件を取得する動きが続いています(p8)。
  取得する物件の利回り目線は維持されており、良好な売買市況の下で鑑定評価額を上回る価格での物件譲渡ができています(p7)。好調な賃貸市況を背景に保有物件の収益性はホテル、オフィスで上昇しました(p6)。
  J-REIT全体の2025年上期の当期利益の総額は3,665億円で、過去最高を更新した売却益651億円がその17.8%を占めます(p4)。内部留保取崩や利益超過分配を加味した分配金の総額は3,635億円で利益総額を下回り、内部留保残高は1,960億円に増加しました(p5)。含み益は2025年上期の分配総額の約17倍に相当する6.0兆円で、一部が売却益として投資家に還元されていますが、不動産価格の緩やかな上昇が続いており、過去最高です(p4)。

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