「不動産投資に関する投資家アンケート調査 2013年」 〜調査結果〜

株式会社三井住友トラスト基礎研究所

  • 株式会社三井住友トラスト基礎研究所は、2013年10月~11月にかけて、不動産投資市場調査の一環として「不動産投資に関する投資家アンケート調査」を実施した。

<調査対象と方法>
- アンケート送付先:713(年金基金:545、その他機関投資家:168)
 その他機関投資家・・・銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行等)97および保険会社(生損保)71
 (以降、「その他機関投資家」は「機関投資家」と表記)
- 回答投資家数:84(年金基金:61、機関投資家:23)(有効回答率:11.8%)
- 調査時期:2013年10月~11月
- 調査方法:郵送による調査票の送付・回収


回答投資家の構成

<アンケート調査の構成>
- 本アンケート調査は、不動産投資に関する調査を主目的とするが、その前提として、オルタナティブ投資のなかでの不動産投資の位置付け等を把握することも念頭に入れ、オルタナティブ商品への これまでの投資実績、現在の投資実績に加えて、現在オルタナティブ商品に対して投資を実施している投資家については、不動産投資の有無を確認するという流れにて構成されている。
- 下表は、本アンケート調査の構成イメージおよび有効回答数をまとめたものである。

アンケート調査の構成イメージ

調査結果 要旨

  • 回答のあった投資家のうち、年金基金の85%、機関投資家の78%がオルタナティブ商品(ヘッジファンド、不動産、プライベート・エクイティ、インフラファンド、その他)への投資実績を有しており、オルタナティブ投資が浸透している状況を示す結果となった。また、現在、オルタナティブ商品へ投資を実施している投資家のなかで不動産投資を実施している投資家は、年金基金35%、機関投資家73%であった。

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  • オルタナティブ商品への投資実績がないと回答した投資家の多くは、そもそも「運用対象に含めていない」という理由によるものであったが、「情報の開示量が不十分と感じる」「適切なベンチマークがない」という点を理由に挙げる投資家に加えて、「オルタナティブ投資に対する知識が乏しい」ことを理由に挙げる投資家も一定比率存在しており、投資家数の拡大のためには、技術的・専門的な向上のみならず啓発活動も必要な状況にあることがわかった。

  • 現在、不動産投資を実施している投資家の具体的な不動産投資商品には、年金基金および機関投資家それぞれに軽重は見受けられるが、いずれの投資家においても、様々な不動産投資商品を投資の対象とすることで、不動産投資のなかにおいてもポートフォリオを構築している様子がうかがえた。

  • 近年注目を集めている「オープンエンド型不動産私募ファンド(いわゆる私募REIT)」については、認知度は着実に高まっていることが確認された。「オープンエンド型不動産私募ファンド(いわゆる私募REIT)」に対する投資の検討状況を年金基金および機関投資家それぞれに聞いたところ、年金基金では、「名称を聞いたことがあるが、何も検討していない(48%)」との回答がある一方で、「既に投資している(10%)」に 加えて、「投資を行うことを決定し、その準備を行っている(6%)」、「興味はある(13%)」、「将来的に投資を行う可能性がある(8%)」といった投資に前向きな回答も一定比率存在している。また、機関投資家では、「検討した結果、投資しないことを決定した」とする回答が30%となっている一方で、「既に投資している(26%)」とする回答やその他投資に前向きな回答も一定比率を占めており、二極化が生じつつある状況を確認した。

  • 不動産投資を行ううえで必要な要素についての設問では、年金基金からは「一定の流動性の確保・向上」という回答が最多となっており、これに次いで、「不動産評価額の精度、信頼性向上」が挙げられた。年金基金においては投資対象となっている不動産の評価に対する意識が特に高いことがうかがわれた。今後、オープンエンド型不動産私募ファンドへの注目度が高まるにつれて、更に「不動産評価額の精度、信頼性向上」が求められるものと思われる。また、「十分な情報開示」や「適切な運用報告」といった選択肢への 回答も多く、AIJ問題を契機として高まった情報開示への意識の高さが継続していることがわかる。加えて、いずれの投資家においても、ベンチマークとなる不動産ファンドもしくは実物不動産に関するインデックスの拡充という回答が一定比率を占めており、広範な投資家の要望を充足させるためには、運用会社を中心として、関連するそれぞれのプレイヤーによる投資環境向上への取組みがより一層必要と思われる結果となっている。

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