不動産私募ファンドに関する実態調査 ~2021年1月 調査結果~(訂正版)

株式会社三井住友トラスト基礎研究所

     株式会社三井住友トラスト基礎研究所は、不動産投資市場調査の一環として、2003年より年2回の頻度で「不動 産私募ファンドに関する実態調査」を行っている。本調査は今回で31回目となり、47社の不動産運用会社から回 答を得た。

  - 調査対象:国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社
  - アンケート送付先数:106社
  - 回答社数:47社(回収率:44.3%)
  - 調査時期:2021年1月~3月
  - 調査方法:郵送およびEメールによる調査票の送付・回収

不動産私募ファンドの市場規模は、グローバルファンドを含めて22.5兆円と推計

  • 上記アンケート結果およびヒアリング・公表情報をもとに、当社は、2020年12月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT含む)の市場規模(運用資産額ベース)を22.5兆円と推計した。この数値は、当社が把握しているグローバルファンド(※)の国内不動産運用資産額を含めている。前回調査(2020年6月末時点)の運用資産額(21.1兆円)から約1.4兆円(約6.5%)増加し、前回調査に続き過去最高額を更新した。市場規模の増加ペースは0.9兆円増加した前回調査と比較してやや加速しており、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下においても国内不動産私募ファンドの市場規模の拡大が継続している。(*)

    ※グロ-バルファンド・・・日本以外の国も投資対象とするファンドとして当社が定義

投資家の投資意欲が半年前から改善、今後組成予定ファンドにも変化が

  • 今回のアンケート結果で注目すべきは、投資家の投資意欲について「変化はない」が依然過半を占めるものの、投資家の投資意欲が「低くなってきている」との回答が減少し、「高くなってきている」が増加している点である。このことから、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一旦は低下しつつあった投資家の投資マインドが持ち直していることが伺え、特に海外の機関投資家を中心に投資意欲が高くなっている。
  • また、今後1年以内に組成予定のファンドのLTV水準は、前回59.4%と新型コロナウイルス感染症拡大から派生するファイナンスリスクに備えて大きく低下したが、今回は66.5%へと再び上昇した。本項目は回答件数が限定的であることに留意が必要であるが、レンダーの融資態度の厳格化および不動産価格の下落に対する警戒感がやや緩和した可能性が考えられる。ただし、今後1年以内に組成予定のファンドの運用期間は前回調査に引き続き短期化しており、出口戦略におけるフレキシブルな対応が可能な方向へとシフトしている可能性がある。

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