中古マンション価格から読む二大都市圏の駅力

投資調査第2部 研究員   竹本 遼太

<要約・概要>
 中古マンションの取引価格情報をもとに、築年数が価格に及ぼす影響度合いを東京圏および大阪圏の鉄道駅ごとに評価した。築古になっても中古マンションの取引価格が下がりにくい、すなわち築年が1年古くなることに対する価格の低下率が小さい(経年劣化の影響が小さい)駅を集計すると、都心ターミナル駅へのアクセスに優れた路線の沿線や、東京圏の都心部および大阪圏の北摂地域を通る路線の沿線が多い結果となった。

 経年による影響の差異をもたらす自然要因・社会要因を分析したところ、築古になっても価格が下がりにくい地域の特徴として、①中古マンションの価格水準が高い、②築古物件も多く取引されている、③子育て世帯が多い、④賃貸住宅需要が強い(東京圏のみ)、⑤高台に存する(東京圏のみ)、といった傾向が確認された。

 なお、今回の分析では公表されているデータの制約上、取引された部屋の階数やマンション全体の規模の影響は考慮していない。人口減少に伴い住宅ストックが過剰な状態になることが全国的に予想されるなか、既存の住宅ストックの有効利用を促す観点で、中古住宅市場の活性化がより重要になると考えられる。中古マンションの価格形成に関わる情報公開の充実は、市場の透明性を高めることに寄与することから、将来的にはより広範囲にわたる情報の公開が望まれる。

二大都市圏における経年の影響が小さい路線 (1年当たりの価格低下率)

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