「不動産投資に関する調査 2014年」 -調査結果-

株式会社三井住友トラスト基礎研究所

  • 株式会社三井住友トラスト基礎研究所は、2014年10月~11月にかけて、不動産投資市場調査の一環として「不動産投資に関する調査」を実施した。

<調査対象と方法>
- アンケート送付先:683(年金基金:519、その他機関投資家:164)
 その他機関投資家・・・銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行等)95および保険会社(生損保)69
 (以降、「その他機関投資家」は「機関投資家」と表記)
- 回答投資家数:92(年金基金:69、機関投資家:23)(有効回答率:13.5%)
- 調査時期:2014年10月~11月
- 調査方法:郵送による調査票の送付・回収

投資家の構成

<アンケート調査の構成>
- 本アンケート調査は、不動産投資に関する調査を主目的とするが、その前提として、オルタナティブ投資のなかでの不動産投資の位置付け等を把握することも念頭に入れ、オルタナティブ商品へのこれまでの投資実績、現在の投資実績に加えて、現在オルタナティブ商品に対して投資を実施している投資家については、不動産投資の有無を確認するという流れにて構成されている。
- 下表は、本アンケート調査の構成イメージおよび有効回答数をまとめたものである。

アンケート調査の構成イメージおよび有効回答数

調査結果 要旨

  • 回答のあった投資家のうち、年金基金の86%、機関投資家の78%がオルタナティブ商品(ヘッジファンド、不動産、プライベート・エクイティ、インフラファンド、その他)への投資実績を有しており、オルタナティブ投資が浸透している状況を示す結果となった。また、現在、オルタナティブ商品へ投資を実施している投資家のなかで不動産投資を実施している投資家は、年金基金50%、機関投資家100%であった。

  • オルタナティブ商品への投資実績がない投資家に対して、投資を行わない理由を質問したところ、「運用対象に含めていない」という回答が最多であり、次いで、「情報の開示量が不十分と感じている」との回答が多い結果となった。運用者サイドからの十分な量の情報提供等が、オルタナティブ投資への更なる精通を促す結果、投資家サイドでのオルタナティブ商品を運用対象に含める動きに繋がるものと思われる。

  • 現在、不動産投資を実施している投資家に対して、不動産投資を行う理由について質問したところ、「分散投資効果」という回答が最多であり、これに次いで僅差にて「安定的なインカムゲイン(分配金)の確保」との回答が多い結果となった。投資家の不動産投資に対する安定的なパフォーマンスへの期待は大きい。

  • 近年話題を集めているオープンエンド型不動産私募ファンド(いわゆる私募REIT)について、認識状況を投資家に質問したところ、私募REITの特性に関する選択肢に多く回答がなされた。「知らない、分からない」との回答も一定割合存するものの、私募REITへの関心や認知度向上が看取される結果となっている。また、私募REITへの投資に関する質問では、「既に投資している」という回答が、年金基金・機関投資家 ともに増加しており、私募REITの認知度向上に伴い、投資も徐々に加速している状況にある。私募REITの認知度向上や投資実績は増加傾向にあるとはいえ、年金基金については「名称を聞いたことがあるが、何も検討していない」との回答が最多となっており、また、「検討した結果、投資しないことを決定した」との回答も一定の割合を占めているため、年金基金の私募REITへの取組み状況は二極化しているといえる。

私募REITへの投資に関する検討状況

  • 不動産投資を行ううえで必要な条件について質問したところ、年金基金・機関投資家ともに「一定の流動性の確保・向上」との回答が最多となった。また、「投資実行時の運用会社・信託銀行等からの十分な情報開示」や「投資実行中における運用会社・信託銀行等からの適切な運用報告」といった回答も上位に挙げられており、投資家は、投資期間全体を通じて、運用者サイドに十分かつ適切な情報開示および運用報告を求めていることがわかった。また、「不動産鑑定評価額の精度、信頼性向上」という回答も多く挙げられており、投資家が投資商品の裏付けとされる不動産の評価に対して強い関心を有していることもわかった。 既述のとおり、私募REITの認知度向上に伴い、今後新規に私募REIT投資を開始する投資家が増加すると思われ、投資口価格が不動産鑑定評価額に基づき算出される私募REITとの関係において、不動産鑑定評価額に対する注目はさらに高まる可能性がある。

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