不動産ESG:社会(S)を評価するガイダンス作成に向け、国土交通省が「中間とりまとめ」を公表

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

 国土交通省が設置した「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会」では、有識者による計5回の議論を行い、我が国における社会的課題として挙げられる少子高齢化への対応や自然災害への備え、地域活性化、多様な働き方・暮らし方の実現等に関するESG取組の評価項目を整理し、「不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会 中間とりまとめ」を3月30日に発表した。この中間とりまとめでは、「持続可能な社会・ウェルビーイングの実現」のために解決すべき社会的課題を示し、これに対応する具体的な評価項目と、達成すべきSDGsゴール、UNEP FIインパクトレーダーおよびインパクト・カテゴリーとの関連性を整理している。今後、中間とりまとめを踏まえて次の評価方法の検討へつなげていく予定である。社会(S)の評価は取組内容が多岐にわたるため、その優劣の判断を付けづらいが、この中間とりまとめでは社会(S)の評価項目を体系的に整理し、どのような取組をすればどのSDGsゴールを達成することになるか、などが一覧で理解できるように工夫されており、今後のESGの取組、また評価のポイントを把握する上で大いに参考となると考えている。

トピック

  • 有識者による5回の議論を経て、中間とりまとめを公表
  • 社会的課題を階層として整理しつつ、持続可能な社会の実現を欲する高次の社会的課題を捉える
  • ガイダンスは不動産業界全体のESG意識の底上げと具体的な取組の推進に役立つ
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