私募投資顧問部 副主任研究員
竹田 優里
不動産私募ファンド・私募REITのLTV分析
-2026年1月調査-
要約・概要
不動産証券化協会および三井住友トラスト基礎研究所は、不動産運用会社へのヒアリングによる「不動産私募ファンドに関する実態調査」を半期に一度実施している。その調査において、私募ファンドでは、平均LTVが直近の2026年1月調査で69.0%と過去5年間で最も高い数値となった。背景には、①コア投資における不動産価格高騰下での利回り確保、②コア投資以外のハイリスクハイリターンのバリューアッド、オポチュニティ、開発型の割合増加、③金利上昇局面での利回り確保の3つの要因があると考えられる。
一方、私募REITはコア投資・オープンエンドファンドであり、各私募REITで維持すべきLTV上限があるため同一の私募REITでLTVが急上昇する可能性は低いが、平均LTVが「50%以上」の銘柄の割合が直近の調査では4割を超えている。不動産価格高騰で不動産の利回り低下が進む中、一般に当初発行投資口基準価額に対し4%と言われる私募REITの利回りを確保するために、新興の銘柄が高いLTVを設定している可能性がある。
また、今後1年以内に組成予定のファンドの平均LTVが70.6%まで上昇し、引き続き運用中ファンドの平均LTVを上回っている。上記①~③の動きが加速し、LTVは今後さらに上昇する可能性がある。その中でも、③によるLTV上昇には留意が必要である。
金利が一段と上昇すると、目標IRRが引き上げられる可能性に加えてデットコストが一層増加し、デットの利払い後の利回り確保のためにLTVを高める動きが強まる可能性もある。賃料上昇が期待できる環境が続く限りにおいては、このような動きもある程度合理的な判断となり得るが、足下はイラン情勢やそれに伴う企業業績悪化も懸念される状況にあり、過度に楽観的な市場見通しによる安易なLTV上昇にはならないよう注意が必要である。























