「不動産投資に関する調査 2015年」 -調査結果-

株式会社三井住友トラスト基礎研究所

  • 株式会社三井住友トラスト基礎研究所は、2015年9月~10月にかけて、不動産投資市場調査の一環として「不動産投資に関する調査」を実施した。

<調査対象と方法>
- アンケート送付先:662(年金基金:502、その他機関投資家:160)
  その他機関投資家・・・銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行等)および保険会社(生損保)
  (以降、「その他機関投資家」は「機関投資家」と表記)
- 回答投資家数:94(年金基金:71、機関投資家:23)(有効回答率:14.2%)
- 調査時期:2015年9月-10月
- 調査方法:郵送による調査票の送付・回収

アンケート回答者属性

<アンケート調査の構成>
- 本アンケート調査の質問内容は、投資家のオルタナティブ投資の実績に応じて以下の3段階に区分した構成としている。

①:「これまでの」オルタナティブ投資の実績の有無
②:(①での回答内容を踏まえ)「現在の」オルタナティブ投資の実績の有無
③:(①での回答内容を踏まえ)現在のオルタナティブ投資における「不動産」への投資残高の有無

- 上記に基づき回答内容を集計したところ、以下のような結果となった。

アンケート調査の構成

調査結果 要旨

  • 回答のあった投資家のうち、年金基金の85%、機関投資家の78%がオルタナティブ商品(ヘッジファンド、不動産、プライベート・エクイティ、インフラファンド、その他)への投資実績を有しており、オルタナティブ投資が浸透している状況を示す結果となった。

  • オルタナティブ商品へ「投資実績なし」と回答した投資家にその理由を質問したところ、「流動性が低い」との回答が最多であり、次いで、「オルタナティブ投資に対する知識が乏しい」との回答が多い結果となった。オルタナティブ商品へ「投資実績なし」と回答した投資家は、現状の好調なマーケット環境下では株式や債券への投資で十分であり、オルタナティブ商品への投資や投資検討の必要性が低いと捉えている可能性がある。

  • 現在、不動産投資を実施している投資家に対して、不動産投資を行う理由について質問したところ、「分散投資効果」との回答が最多であり、これに次いで僅差にて「安定的なインカムゲイン(分配金)の確保」との回答が多い結果となった。オルタナティブ投資を行った理由においても「分散投資効果」との回答が最多となったが、次いで「リターンの向上」という回答が多かった点と比較すると、投資家の不動産投資に対する安定的なパフォーマンスへの期待は大きいといえる。

  • オープンエンド型不動産私募ファンド(いわゆる私募REIT)について、認識状況を投資家に質問したところ、私募REITの特性に関する選択肢に多く回答がなされた。年金基金においては、「知らない、分からない」という回答数は毎年減少している一方、私募REITに関する特性(メリット・デメリット)についての回答が増加しており、私募REITの認知度が少しずつ向上している状況がうかがえる。一方、機関投資家においては、年金基金との比較において、「知らない、分からない」という回答数は極めて少なく、私募REITの認知度は、年金基金よりも機関投資家の方が高いといえる。
    私募REITの認知度向上や投資実績は増加傾向にあるとはいえ、年金基金では、「既に投資している」という回答が毎年堅調に増加している一方で、「名称を聞いたことがあるが、何も検討していない」という回答が最多となっており、また「検討した結果、投資しないことを決定した」との回答も一定割合を占めていることからすると、年金基金の私募REITに対する取組みの状況は二極化していることがわかる。

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