キャップレート推計モデルの予測精度向上へ向けて
~ ディープニューラルネットワークを用いたモデル構築の試行 ~

私募投資顧問部 主任研究員    米倉 勝弘

要約・概要

  • 本稿では、キャップレートの予測精度向上を目的にディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network)を用いた推計モデルの構築を試みた。重回帰モデルによる予測結果と比較したところ、ディープニューラルネットワークモデルのRMSEは重回帰モデルのRSMEを下回っており、予測精度が向上していることが確認できた。今後は、ニューラルネットワークを拡張した再起型ニューラルネットワーク(RNN)や長短期記憶ニューラルネットワーク(LSTM)を適用することにより、時系列的な分析を進めることを考えている。
  • ディープニューラルネットワークを用いたモデルは、データ数が豊富にあり、非線形的関係や交互作用の影響を反映したい場合、複数の目的変数を扱う場合などにおいて特に有用である。キャップレートの推計モデルにおいては、画像データなどを取り入れることで、予測精度の更なる向上が期待できる。ディープニューラルネットワークモデルに対する世の中の理解が進めば、その精度の高さから、メインモデルの結果の精度確認や、メインモデルの結果を幅で捉える際のサブモデルとして、ディープニューラルネットワークモデルを使用することも考えられるのではないだろうか。

report_20210308.png

関連する分野・テーマをもっと読む