私募REITのESG取組率が伸長、次は開示方法に工夫を
~全てのステークホルダーに向けた発信がESGの取組を加速させる好循環を生む

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

要約・概要

我が国における不動産投資市場の持続的成長の観点から、社会に有意義なインパクトおよび中長期的に安定した経済リターンを求めるESG投資やSDGsの考え方に沿った投資の促進が求められている。そのため不動産運用会社は、ESGを志向する投資家の存在を認識し、サステナビリティ方針を策定し、これをもとに具体的なESGの取組を推進し、その状況を投資家に的確に伝える必要がある。
当社が行った「不動産私募ファンドに関する実態調査(2021年1月)」では、前回調査(2019年7月)と比較して、運用会社によるESGの取組状況に進展が見られた。特に、「私募REIT運用あり」とする運用会社は、その100%が「投資家が投資先運用会社を選定する際、ESGへの取組状況を考慮していること」を「意識している」と回答し、具体的なESGの取組率も高い結果となった。
ESGの取組は、投資家のみならず社会全体のステークホルダーの関心事項である。不動産は社会生活の基盤であることから、投資家にとどまらず、あらゆるステークホルダーに向けた公表が望ましいだろう。取組に対するステークホルダーの理解は、持続可能な社会形成への協力体制と相まって、さらにESGの取組を加速させる好循環を生むであろう。

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