投資調査部長 主席研究員
大谷 咲太
金利変動下で問われる金融機関の目利き力とリスク管理体制
~金利上昇時や市場調整時の影響経路も、越境融資の拡大で複雑化~
概要
- 日銀の金融政策正常化で金利上昇が進む中、金融当局は地方銀行を中心に事業用不動産向け融資のモニタリング強化を進めている。特に首都圏などへの越境融資や不動産ファンド向け融資の拡大で、リスクの把握はこれまで以上に複雑になっている。
- 今回の金利上昇局面では、バブル期や世界金融危機時のように不動産価格が一律に大きく崩れる構図ではない。インフレ定着や賃料上昇、建築費高騰による供給抑制によって、不動産価格は押し上げられやすい。
- 不動産市場は足元で堅調な推移となっているが、今後は賃料成長力の用途、立地ごとの差が価格形成を左右する局面へ移りつつある。
- 金融機関には、足元の稼働率や担保価値だけでなく、将来の不動産価格や収益まで織り込む「目利き力」が求められる。セクター別・地域別の価格下落リスクに応じて、スプレッドやLTVなどの融資条件を適切に設定し、時価評価も踏まえて与信構成を点検するなど、インフレや金利上昇といった環境変化に応じた管理体制を整えていくことが求められる。
本レポートは週刊金融財政事情(2026.10.20号)に寄稿した記事を利用許諾を得て再掲したものです。
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