J-REITのESG開示情報をテキストマイニング(2)
<対応分析によるESG開示内容のセクター間比較>

REIT投資顧問部 研究員   小西 勝也

要約・概要

 2019年10月16日掲載「J-REITのESG開示情報をテキストマイニング<共起ネットワークによる全体像の可視化>」(以下、前稿)では、J-REITによるESGへの取り組みの全体像を把握した。本稿では、以下の観点から、J-REITのESG取り組み状況に対する理解をより深めることを目的に分析を行った。

 J-REITの投資法人は、その運用する物件の用途による特性に応じて、環境や社会への影響を考慮した取り組みを行う必要がある。一方、その取組を評価する者は、そうした物件特性に応じた取り組みの違いを考慮することで、環境や社会へ優れた配慮を行う銘柄を重視、選別して投資するというESG投資の本質に沿った評価が可能になると考えている。そこで、本稿では、文書間の差異や特徴を視覚的に把握可能なテキストマイニング手法(対応分析)を用いて、運用する物件用途が異なる各セクターの開示情報を比較分析し、セクター間での開示内容の違いやその特徴を分析した。

 本分析の結果、一定の納得感のある各セクターの特徴を得ることができた。本手法を用いることで、評価者の定性的な分析では気づかない特徴に気づくことも可能であり、J-REITのESG取り組み状況への理解をより深める上で、本手法は有用と言えるだろう。

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