コアファンドからの資金流出が続く米国不動産ファンド市場

私募投資顧問部 副主任研究員   三武 真知子

要約・概要

 米国不動産コアオープンエンドファンドがパフォーマンス低迷と資金流出の継続という難局に直面している。NCREIF が公表しているインデックス(NFI-ODCE)によれば、2020Q2のトータルリターンは-1.56%となり、金融危機後初めてのマイナス圏に沈んだ。パフォーマンス低迷に伴い、投資資金のフローでみても、2016年以降流出資金が流入資金を上回る純流出が断続的に見られている。一方、バリューアッド型とオポチュニスティック型が大半を占めるグローバルクローズドエンドファンド市場でも、今年に入り多くのファンドが資金調達に苦慮しているが、これはコロナ禍による市況悪化の影響が大きい。そうした中で、米国の機関投資家の動向を個別に追うと、リスク選好型のファンドやデットファンドへの投資事例が目立ち、特にリスク選好型ファンドへの選好は、グローバル投資家のアンケート調査でも確認された。また、新たな物件タイプのファンドにも人気が集まっている。多様で先進的な投資商品を揃える市場と、市況に応じた機動的な投資行動をとる機関投資家の存在により、グローバルな不動産ファンド市場を常にリードする米国の市場動向を今後も注視していきたい。

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