不動産市場・ショートレポート
新たな危機・新たな環境と不動産市場④/賃貸市場(商業施設)

投資調査第2部 研究員   中西 一真

 近年、EC(電子商取引)は拡大を続け、小売市場における存在感を増している。一方、商業施設にとって、EC拡大は実店舗の売上減少につながる要因となっている。本レポートでは、拡大を続けるEC市場の動向をまとめたうえで、商業施設に関して、施設の種別や扱う品目に注目して、その影響を考察する。

今後もEC市場は拡大が見込まれ、商業施設にとっては最大のリスク要因となる

 2020年の小売EC市場規模は12兆円と、2019年の10兆円から20%超の拡大となった。新型コロナウイルス(コロナ)拡大による外出自粛で、これまでにない大幅な伸長となった。利用者にとっては、自宅に居ながらにしてあらゆる商品が購入でき、生活に欠かせない購入チャネルとなりつつある。
 当社推計によると、2021年もEC市場規模は大きく拡大したとみられ、今後も長期的に拡大が続く見込みである。外出自粛の影響はコロナ禍が収束すれば弱まるが、コロナ禍で実店舗の閉店が進んだ一方、各テナント企業のEC販売網の整備が進んでいる。

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