世界主要都市の不動産市場サイクル 2021年8月末時点

海外市場調査部長 研究主幹    伊東 尚憲

要約・概要

 「グローバルマーケット・レポート」最新版より「足元の動向」のエッセンスとなる不動産サイクル判断をまとめたもので、世界の主要都市のオフィス賃料、オフィス資産価値、住宅価格は、変動サイクルのどこに位置するかを図示している。

  • オフィス賃料:デルタ型感染拡大や、企業のオフィス戦略検討に伴ってオフィス需要は伸び悩み、多くの都市で空室率の上昇が続いている。需給緩和でフリーレント等のインセンティブが拡大しており、賃料下落局面にある都市が多い。
    コロナ対応などもあり、築浅で最新設備の整ったプライム物件への引き合いは全般的に強い。中でも都心部での開発規制が厳しい欧州都市の賃料は堅調に推移している。
  • オフィス資産価値:賃料下落中の都市が多く、キャッシュフロー要因で資産価値が下落している都市が多い。そんな中、ロンドンやシンガポールのように、オフィス投資活発化に伴うキャップレート低下で資産価値が上昇に転じた都市もある。賃料サイクルと比較すると、サイクル・ステージは分散している。欧州は概ね堅調、米国は調整中、アジア大洋州も調整中だがボトムが見えてきた都市が増えている印象。
  • 住宅価格:低金利で住宅を購入しやすくなっていることや、ペントアップ需要(コロナ禍に伴う繰り越し需要)の発生などで住宅需要は強い。新規供給が少ないこともあり、全ての都市で住宅価格上昇サイクルに位置している。その一方で、価格上昇によりアフォーダビリティ(買いやすさ)は着実に低下している。金利の更なる低下は考えづらく、住宅価格上昇率は次第に鈍化していく見通し。

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