不動産市場・ショートレポート
新たな危機・新たな環境と不動産市場⑥/賃貸市場(ホテル)

投資調査第1部 研究員   浅岡 慎太郎

コロナ禍、日本人の宿泊需要は団体旅行から個人旅行にシフト、ホテル運営にも改善・変革を迫る。

 2020年以降、特に遠方への移動を伴うホテル等の宿泊者数は、コロナ禍に伴う移動制限を受け大きく落ち込んだが、その後、感染収束・拡大を繰り返しつつも、日本人宿泊者を中心にコロナ禍前水準に向け回復基調にある。2022年春以降も、行動制限を伴わないハイシーズンを迎え、さらなる回復が期待されている。
 需要水準が徐々にコロナ禍前に戻りつつある中、以前より地方の観光地等で多く見られた、「パック・団体旅行」に伴う宿泊需要が減少する一方で、代理店等を経由しない「個人旅行」の需要が若年層を中心に増加している。これは、感染回避の一手段としての目的に加え、旅行直前まで感染状況を確認する消費者が増えたこと、ネット予約の利便性向上で予約やキャンセルが容易になったこと、旅行代理店の廃業や規模縮小が顕在化したこと、等が背景にある。結果として、計画から旅行実施日までのリードタイムが短い個人旅行が、消費者ニーズにマッチし普及・拡大したと言えよう。

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