不動産運用会社におけるESG取組状況の実態把握

私募投資顧問部 主任研究員   菊地 暁

要約・概要

 当社が定期的に実施している「不動産私募ファンドに関する実態調査」では、不動産私募ファンドの市場規模やファンド組成動向を定点的に把握している。今回調査(2018年7月調査)では、急速に普及しつつあるESGについての質問項目を追加し、不動産運用会社のESGに対する現状の取組意識、取組状況を把握した。
 回答結果をみると、ガバナンス(G)項目では、回答者ほぼ全員の実施が確認された。一方、環境(E)、社会(S)では、下記図表に示すとおり、取組の実施に差異が生じた。
 次に、環境(E)および社会(S)について、回答者を海外資金運用の有無で分けてクロス集計を行った。その結果、「物件取得・売却時における環境性能」以外の全ての項目において、「海外資金運用あり」の回答者の実施割合が「海外資金運用なし」を上回り、ESGの取組意識の高さを裏付ける結果となった。これは、海外投資家からのESG対応要請が、国内投資家よりも相対的に強いことを反映した結果と考えられる。ESG対応を要請する潮流は確実に日本にも及んできており、今後ESG取組意識の高まりが期待される。

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