Daily PPIから読み解く2020年3月の不動産価格の変動-Covid-19の影響-

投資調査第1部 副部長 主任研究員   菅田 修

要約・概要

  • 不動産価格は、旺盛な投資需要に支えられ、2020年に入っても、高騰局面が継続していた。
  • 2020年3月は、Covid-19の感染拡大を受け、金融市場が大きく変動する中、東証REIT指数(配当なし)は日経平均株価よりも大きな落ち込みを記録した。
  • 不動産は、金融市場のダウンサイド時には流動性が低下する傾向にあることから、不動産価格をリアルタイムで観測することは極めて困難である。
  • そこで、三井住友トラスト基礎研究所は、J-REITの投資口価格を用いた新しい日次の不動産価格指数(Daily PPI)を開発した。
  • Daily PPIは、日経平均株価や東証REIT指数(配当なし)などと同様に、2月20日以降、大きな落ち込みを観測していたが、その変動幅は、東証REIT指数(配当なし)との類似よりも、日経平均株価と似た動きとなっていた。
  • プロパティタイプ別でみると、ディフェンシブアセットと言われる住宅(主要5区)と物流施設(1都3県)の二つのプロパティタイプは、2月初めと比較して3月末時点のDaily PPIは下落しているものの、他プロパティタイプよりも下落幅は小幅にとどまっている。
  • 一番下落幅が大きいプロパティタイプはホテル(東京23区)だった。ただし、ホテルについては、2020年の年明け時点で既に下落トレンドに入っており、下落幅が大きいのは他の下落要因にCovid-19の影響が重なったためと見ている。
  • 現在の価格動向は、NOIの下落等を期待値として織り込んでいるものだが、今後は実績値としてNOIが下落する物件も増加が見込まれる。そのため、2020年4月以降の不動産価格動向については、タイムリーかつ高頻度に状況を把握できるDaily PPIをより一層、注視していくことが必要である。

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